サラ・ツェー (b.1985)

サラ・ツェー(Sarah Tse、謝敏行)は、ニューヨークを拠点に活動している香港出身のアーティスト。主に、鉛筆・水彩・卵テンペラ・ガッシュ・インク・レース・ハンドメイドペーパー・レジンサンドなどの素材を組み合わせたミクストメディア作品を創作している。幼少期の記憶や個人旅行、泡沫の夢からインスピレーションを得る彼女が描く緻密な鉛筆画は、しばしば本質的には夢幻でエロティックだと表される。矛盾する対極のパターンやイメージを配置した彼女のドローイングは、儚い優美さ、ノスタルジックを感じさせると同時に、奇妙な矛盾が交差し、往々にして、見る人を錯乱させ、幾重にも重なった不可思議な感覚を呼び起こす。角ばったロボット、高く積み重ねられたティーカップ、無垢な森の生き物たち、美しく咲き誇るバラの花。日常で目にする普遍的な対象物を、彼女は、スケッチを通して、意味を巧みに操る。そして、見る人の世界に対する解釈の仕方を変え、対象物の姿や性質に疑問を投げかけ続ける。
サラは、2009年にロンドンのセントラル・セント・マーチンズ・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザイン(Central Saint Martins College of Art & Design)を卒業。その後、ニューヨーク、ロンドン、上海、北京、東京、ソウル、香港、台北、シンガポールなど数多くの都市で作品を展示している。2011年には、Perspective Magazineの「40 Under 40(アジアで有望な40歳未満のアーティスト40人)」に選出されている。また、アジアでのアーティスト・イン・レジデンスプログラムにもいくつか参加。P3 art and environmentによる九州・別府滞在および個展、株式会社資生堂とササカワ財団、台南観光局(台湾)、Office339 Gallery(上海)などである。多数の個展やグループ展以外にも、London Art Fair (2011 & 2012), Affordable Art Fair London (2012), Taipei Art Expo (2014),Affordable Art Fair Seoul (2015), Scope Art Fair New York (2015)といった国際的なアートフェアにも数多く出展している。さらに、サラの作品は、ロンドンのV&A Museumで常設展示され、イギリスのサリーにあるthe Lightbox GalleryでもIngram Collectionとして展示されている。